北海道千歳市にあるキウス周堤墓群は、縄文時代後期につくられた大規模な共同墓地です。
2021年には、北海道・青森県・岩手県・秋田県に点在する17遺跡で構成される「北海道・北東北の縄文遺跡群」の一つとして、ユネスコ世界文化遺産に登録されました。
ただ、実際に訪れる前に知っておきたいことがあります。
キウス周堤墓群は、巨大な石造建築や復元された建物が並んでいる遺跡ではありません。
一見すると静かな森です。
ところが、その森の地面にある巨大なくぼみや盛り上がりこそが、約3,000年前の縄文人たちが造った「周堤墓」。
現地の解説板を読みながら歩くと、「この森全体が巨大な墓地だったのか」と、見え方が大きく変わってきます。
- キウス周堤墓群とは?
- まずガイダンスセンターへ
- 2026年の開館期間・料金
- 2026年から見学コースがさらに歩きやすくなった
- 見学ポイント1|周堤墓の立地と地形を見る
- 見学ポイント2|大型の周堤墓が集まる
- 見学ポイント3|縄文文化最大級の構築物
- 見学ポイント4|2号周堤墓の構造
- 見学ポイント5|巨大な墓地群全体を見る
- 森の中を歩く史跡という雰囲気がいい
- キウス周堤墓群の見学所要時間は?
- 無料ガイドを利用するとさらに分かりやすい
- 駐車場はきれいに整備されている
- 公共交通機関はないので車がおすすめ
- ガイダンスセンターも無料
- キウス周堤墓群は「何もない」と思わず説明板を見るのがポイント
- 見学を終えたらガイダンスセンターへ戻る
- キウス周堤墓群についてよくある質問
- まとめ|キウス周堤墓群は「地形を見る世界遺産」
キウス周堤墓群とは?
キウス周堤墓群は、北海道千歳市中央にある縄文時代後期の大規模な集団墓地です。
公式サイトでは年代を紀元前1200年頃としています。1979年に国の史跡に指定され、2021年には世界文化遺産の構成資産になりました。

「周堤墓(しゅうていぼ)」とは、地面を円形に掘り、その土を外周に積み上げてドーナツ状の大きな土手を造り、その内部に複数の墓を設けたものです。
キウス周堤墓群には9基の周堤墓があり、そのうち8基は現在も地形から形を確認できます。
しかも8基はいずれも外径30m以上。最大のものは外径約83m、周堤上面から底までの高低差は約4.7mに達します。掘り上げて積み上げた土は、推定で約3,000立方メートルにもなるとされています。
これがキウス周堤墓群の「何がすごいの?」という疑問に対する大きな答えです。
まずガイダンスセンターへ
現在のキウス周堤墓群を見学するなら、最初に立ち寄りたいのが「史跡キウス周堤墓群ガイダンスセンター」です。

建物の前には見学案内図があり、周堤墓の位置や見学ポイントを事前に確認できます。

ガイダンスセンターには遺跡の展示のほか、無料史跡ガイドの受付、トイレ、自動販売機、各種パンフレットなどがあります。
いきなり森へ入るより、先に「周堤墓とは何なのか」を理解してから歩いた方が、現地の地形が圧倒的に分かりやすくなります。
2026年の開館期間・料金
2026年度のキウス周堤墓群とガイダンスセンターは、4月24日から11月23日まで開館しています。
時間は9:00〜17:00で、11月のみ9:00〜16:00。期間中は無休で、見学料金は無料です。

冬期間は見学施設が閉館するため、旅行で訪れる場合は時期に注意してください。
2026年から見学コースがさらに歩きやすくなった
キウス周堤墓群は2025年度冬に整備工事が行われ、2026年度から新しい見学コースが完成しました。
解説板も新しくなり、駐車場も舗装されています。
実際に現地へ行ってみると、森の中には赤色の見学路が整備されていました。

遺跡だからといって、獣道のような場所を歩くわけではありません。
ルートがはっきりしているので、初めて訪れても進む方向は分かりやすいです。
ただし遺跡保護のため、決められた見学コースの外には入らないようにしましょう。 千歳市も、踏圧などによる遺跡の損傷を防ぐため、コース外への立ち入りを禁止しています。
見学ポイント1|周堤墓の立地と地形を見る
見学コースには番号付きの「見学ポイント」が設けられています。
最初の見学ポイントでは、キウス周堤墓群がどのような地形につくられたのかを確認できます。

写真や図を使った解説板が設置されているため、地面の高低差と周堤墓の位置関係を比較しながら見学できます。

何も知らずに見ると普通の森に見える場所ですが、説明を読んでから眺めると、谷状になった地形や土の盛り上がりが意識できるようになります。
この「見る前と見た後で景色が変わる」のが、キウス周堤墓群の面白いところでした。
見学ポイント2|大型の周堤墓が集まる
さらに進むと「群集する大型周堤墓」の見学ポイントがあります。

キウス周堤墓群では巨大な円形の周堤墓が近接して造られています。

現在は木々に覆われているため、上空から見たようなきれいな円形をそのまま確認できるわけではありません。
それでも、現地に立つと「平らな森ではない」ことがよく分かります。
盛り上がった場所、落ち込んだ場所、さらに奥の周堤墓。
縄文人が大量の土を人力で移動させ、この巨大な墓地を造ったことを想像すると、その規模が実感できます。
見学ポイント3|縄文文化最大級の構築物
見学ポイント3のテーマは「縄文文化最大級の構築物」です。

1号周堤墓は外径約83m、内径約36m。周堤を含めると約1,000㎡もの内部空間を持っています。

現地では木々の間から地形を観察します。
ピラミッドや古墳のように「建造物そのもの」が目の前に現れるわけではありません。
しかし、約3,000年前に人々が道具と人力だけでこれだけ大規模な地形を造ったと考えると、むしろ森そのものが遺構になっていることに驚かされます。
見学ポイント4|2号周堤墓の構造
さらに見学路を進むと、2号周堤墓について解説するポイントがあります。

2号周堤墓では、円形に地面を掘り下げ、その土を外側へ積み上げた構造を詳しく知ることができます。

現地を見ると、周囲より低くなっている場所が分かります。
こうした高低差が「自然にできた窪地」ではなく、人の手によってつくられた墓地だと考えると見方が変わります。
最後の5が見えてきました。
見学ポイント5には階段やデッキも整備されています。

見学ポイント5|巨大な墓地群全体を見る
終盤の見学ポイント5では「縄文の巨大墓地群」として、複数の周堤墓の位置関係を確認できます。

キウス周堤墓群は、一人の有力者だけの巨大墓ではありません。
一つの周堤墓の中に複数の墓が設けられており、長い期間にわたって共同墓地として利用されたと考えられています。巨大な土手を造り、決められた場所に死者を葬るという行為からは、縄文人の社会性や精神文化を読み取ることができます。
世界遺産として評価されている理由も、単に「大きい墓だから」ではありません。
狩猟・漁労・採集を基盤としながら定住生活を続けた縄文人の社会と、死者を大切に扱った精神文化を現代に伝えていることが重要なのです。
森の中を歩く史跡という雰囲気がいい
今回実際に歩いてみて印象的だったのが、史跡見学でありながら森の散策としても気持ちがいいことでした。

途中にはベンチも設置されています。
木々に囲まれた静かな場所なので、説明板を読みながらゆっくり回るのがおすすめです。
ただし、千歳市では初夏以降は蚊への対策として長袖・長ズボンや虫よけを推奨しています。また夏頃からスズメバチの活動が活発になるため、黒っぽい服装を避けるよう案内しています。
夏に行くなら、虫よけ対策はしておいた方がよいでしょう。
キウス周堤墓群の見学所要時間は?
現地を普通に一周するだけなら、それほど長時間かかる場所ではありません。
ただ、キウス周堤墓群は「写真を撮ってすぐ終わり」というタイプの観光地ではなく、各ポイントの説明を読みながら歩くことで面白さが分かります。
そのため、30〜60分程度を見ておくと余裕を持って見学できます。
さらに無料のボランティアガイドを利用する場合は、現在の案内では1回約45分程度です。個人9名以下の場合は事前予約ではなく、当日にガイダンスセンターで申し込みます。
歴史が好きなら、ガイドを利用する価値はかなり高いと思います。
無料ガイドを利用するとさらに分かりやすい
キウス周堤墓群では「キウス周堤墓群を守り活かす会」による無料のボランティアガイドが実施されています。
個人9名以下の場合はガイダンスセンターで当日申し込みが可能で、1回の定員は20名。所要時間は約45分です。
キウス周堤墓群は、目の前に復元建物が並んでいる遺跡ではないため、「どこを見るべきか」を教えてもらえるガイドとの相性が非常に良い遺跡です。
初めて訪れる人ほど利用してみるとよいでしょう。
駐車場はきれいに整備されている
車で訪れる場合は専用駐車場があります。

2025年度冬の整備によって駐車場が舗装され、駐車区画も分かりやすくなりました。
千歳市によると、普通車24台、大型バス2台分の駐車場があります。
国道337号沿いから専用駐車場へ入れるため、車であればアクセスしやすいです。
公共交通機関はないので車がおすすめ
キウス周堤墓群は、JR千歳駅から約10km、新千歳空港から約12kmです。
また、道東自動車道の千歳東ICから近い場所にあります。
一方、千歳市は公共交通機関はないと案内しています。
そのため観光で訪れる場合は、レンタカーや自家用車を利用するのが現実的です。
新千歳空港から北海道旅行を始める人にとっては、空港到着後または帰る前に組み込みやすい世界遺産でもあります。
ガイダンスセンターも無料
ガイダンスセンターには史跡についての展示があり、周堤墓について理解してから現地へ入れます。
2026年度の基本情報は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 北海道千歳市中央 |
| ガイダンスセンター | 北海道千歳市中央1473-1 |
| 2026年開館期間 | 4月24日〜11月23日 |
| 開館時間 | 9:00〜17:00 |
| 11月 | 9:00〜16:00 |
| 料金 | 無料 |
| 期間中の休館 | なし |
| 駐車場 | 普通車24台・大型バス2台 |
| 公共交通 | なし |
開館期間や時間は年度によって変わる可能性があるため、訪問直前には千歳市の最新情報を確認してください。
キウス周堤墓群は「何もない」と思わず説明板を見るのがポイント
キウス周堤墓群について検索すると、「何が見られるの?」「ただの森に見えるのでは?」と思う人もいるかもしれません。
実際、予備知識なしで歩けば、その感想になる可能性はあります。
しかし、
周囲より数メートル低い巨大なくぼみが人工的につくられ、その土を周囲に積み上げ、さらにその内部に何十もの墓を造った
と分かった状態で見ると、景色の意味がまったく違ってきます。
見学ポイントごとに解説板が設置されているので、写真や復元図と実際の地形を見比べながら歩くのがおすすめです。
見学を終えたらガイダンスセンターへ戻る
見学コースは森を巡った後、ガイダンスセンター側へ戻れるよう整備されています。

見学後にもう一度展示を見るのもおすすめです。
最初は意味が分からなかった周堤墓の断面図や位置関係が、実際に現地を歩いた後だと理解しやすくなります。
キウス周堤墓群についてよくある質問
キウス周堤墓群は世界遺産ですか?
はい。2021年に世界文化遺産へ登録された「北海道・北東北の縄文遺跡群」を構成する17遺跡の一つです。
キウス周堤墓群は何がすごいの?
9基の大規模な周堤墓が集中して残り、最大のものは外径約83m、高低差約4.7mに達します。縄文時代に人の手で造られた巨大な共同墓地が現在まで地形として残っている点が大きな特徴です。
キウス周堤墓群の入場料はいくら?
無料です。ガイダンスセンターも無料で利用できます。2026年度は4月24日〜11月23日に開館しています。
駐車場はありますか?
あります。普通車24台、大型バス2台分が用意されています。
見学にはどのくらい時間が必要?
自分で見学するなら30〜60分程度を見ておくとよいでしょう。無料ガイドは約45分です。
新千歳空港から行けますか?
新千歳空港から約12kmです。ただし公共交通機関はないため、レンタカーや車での訪問が便利です。
まとめ|キウス周堤墓群は「地形を見る世界遺産」
キウス周堤墓群を実際に歩いて感じたのは、ここは**「建物を見る世界遺産」ではなく「地形を読み解く世界遺産」**だということです。
最初は森にしか見えなくても、解説板を読みながら歩いていくと、巨大な周堤墓の形が少しずつ分かってきます。
約3,000年前。
重機もない時代に地面を掘り、大量の土を積み上げ、巨大な共同墓地を造った縄文人たち。
現在もその起伏が残っていることを考えると、見た目以上にスケールの大きな遺跡です。
2026年からは見学コースや解説板、駐車場の整備も進み、以前より格段に見学しやすくなりました。
新千歳空港や千歳市街からも車で訪れやすいため、北海道の世界遺産を巡りたい人はもちろん、「北海道で少し変わった場所を見てみたい」という人にもおすすめしたいスポットです。
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