北海道三笠市の三笠ジオパーク野外博物館エリアには、かつて北海道の石炭産業を支えた貴重な施設が残されています。
その一つが、旧幾春別炭鉱錦立坑櫓(きゅういくしゅんべつたんこう にしきたてこうやぐら)です。
1920年(大正9年)に完成したとされ、現存する立坑櫓としては北海道で最も古いものです。
今回は街角タイムス北海道取材部が現地を訪問。三笠市立博物館側から野外博物館の散策路を歩き、錦立坑櫓や隣接する巻揚場などを撮影しました。
実際の道のりや建物の様子、炭鉱の歴史、見学時の注意点まで現地写真とともに紹介します。
旧幾春別炭鉱錦立坑櫓とは?
旧幾春別炭鉱錦立坑櫓は、北海道三笠市幾春別山手町に残る炭鉱関連施設です。
かつてこの地域では石炭の採掘が盛んに行われ、北海道の近代化と日本の産業発展を支えてきました。
錦立坑櫓は1920年(大正9年)12月に完成したとされ、高さは約10m。地下に延びる立坑を利用した炭鉱施設の一部です。
現地の鉄骨には八幡製鉄所で製造されたことを示す刻印が確認されていると、三笠ジオパークは紹介しています。
また、立坑櫓に加えて巻揚場や変電所、坑口などの遺構がまとまって残っている点も歴史的な価値があります。
これらを含む「旧北炭幾春別炭鉱・錦坑の炭鉱施設群」は、2013年に土木学会選奨土木遺産に認定されています。

三笠ジオパークの散策路から階段を上がって向かう
今回の取材では、三笠市立博物館を起点に野外博物館エリアの散策路を歩きました。
散策路には各ジオサイトの案内板が設置されており、地層や炭鉱遺産の歴史を学びながら進めます。
錦立坑櫓へ向かう際は、途中の案内標識に従って散策路から階段を上がります。
実際に歩いてみると、錦立坑櫓は散策路沿いにあるものの、階段を上がった先に位置していることが分かりました。
訪問時は、足元に落ち葉が積もっている場所もありました。雨上がりなどは滑りやすくなる可能性があるため、歩きやすい靴がおすすめです。落ち葉が濡れていると滑りますのでご注意を。この日は朝露があったようで多少滑りました。

取材時には学生団体がガイドの説明を受けていた
錦立坑櫓を訪れた際、学生の団体がガイドの方から施設について説明を受けている場面がありました。
単に古い炭鉱施設を眺める場所ではなく、北海道の産業史を学ぶ場所としても利用されていることを実感しました。
実際に建物を目の前にすると、写真で見るよりも鉄骨の存在感があり、当時の炭鉱がどれほど大きな産業だったのかを想像させられます。
現地に残る鉄骨の立坑櫓
階段を上がって進むと、大きな鉄骨の構造物が姿を現します。
これが旧幾春別炭鉱錦立坑櫓です。
長い年月を経て赤茶色になった鉄骨が組み合わさり、現在も当時の構造を残しています。どこか寂しさを感じました。
櫓は地下の立坑と組み合わせて使われた施設で、炭鉱での人員や資材などの昇降を支える役割を担っていました。

北炭のマークが残る鉄骨
立坑櫓には、北海道炭礦汽船(北炭)に関連するマークも残っています。
当時の企業の歴史を感じられる部分であり、建物そのものが産業遺産であることを実感できます。
また、鉄骨の製造元を示す刻印なども、近代日本の鉄鋼産業と北海道の石炭産業の関係を知る手がかりになっています。

隣接する赤れんが造の巻揚場と関連施設
錦立坑櫓の周囲には、鉄骨の櫓だけでなく赤れんが造の建物も残されています。
土木学会の資料によると、この一帯には巻揚場や変電所の遺構があり、立坑櫓とともに炭鉱の操業を支えていました。
巻揚場は、立坑で使用する巻揚設備を設置した施設です。
建物の外壁には赤れんがが使われ、柱や梁にはコンクリートが用いられている様子も確認できます。

建物内部に見える設備跡も見どころ
建物の開口部から内部を観察すると、当時の設備に関係する遺構や大きな空間が残っていました。
壁や天井には経年による変化が見られ、窓の向こうには周囲の木々が広がっています。
操業していた頃の施設の姿を想像しながら見学できる場所です。

施設の近くには当時の様子を紹介する解説資料も設置されています。
現在残る建物と昔の写真を見比べることで、炭鉱が操業していた時代の姿をより具体的にイメージできます。

周辺には別の赤れんが造の建物も残る
さらに周辺を見渡すと、木々に囲まれるように別の赤れんが造の建物も残っていました。
外観には経年変化が見られますが、窓や柱、壁の構造が確認できます。
この一帯に複数の炭鉱施設が集まっていたことが、現地を歩くことでよく分かります。

※遺構には劣化が見られるため、指定された見学範囲を守り、建物や設備に触れたり立入制限のある場所へ入ったりしないようにしましょう。
旧錦坑坑口(A-04)との関係
錦立坑櫓の近くには、三笠ジオパークのA-04に指定されている「旧錦坑坑口」のジオサイトもあります。
旧錦坑坑口と錦立坑は、かつて地下でつながっていました。
採掘された石炭は坑道を通り、現在の三笠市立博物館付近にあった選炭場へと運ばれていたそうです。

取材時は坑口の形を確認できなかった
今回、A-04の現地にも足を運びました。
ただし、現地で確認できたのは斜面状の地形と解説板で、かつての坑口の姿をそのまま確認することはできませんでした。
このため、当時の坑口の姿や地下構造については、現地の解説板や公式資料を参考にする必要があります。

旧幾春別炭鉱錦立坑櫓のアクセス・見学情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 旧幾春別炭鉱錦立坑櫓 |
| 所在地 | 北海道三笠市幾春別山手町 |
| ジオサイト番号 | A-03 |
| エリア | 三笠ジオパーク野外博物館 |
| 見学 | 指定された散策路などから外観を見学 |
| 駐車場 | 三笠市立博物館の駐車場を利用 |
| 冬季 | 野外博物館は冬季閉鎖あり |
| 撮影 | 指定見学範囲からの外観撮影。敷地内への立入りは許可が必要 |
三笠市立博物館を起点にするのがおすすめ
車で訪れる場合は、三笠市立博物館を起点にすると分かりやすいでしょう。
博物館の駐車場から野外博物館エリアへ向かい、途中の案内板に従って錦立坑櫓を目指します。
見学時の注意点
野外博物館は自然の中に整備された散策路です。
雨や落ち葉による足元の滑りやすさに注意し、動きやすい服装で訪れることをおすすめします。
また、現地には古い建物や鉄骨、設備の遺構があります。崩落などの危険が考えられるため、見学可能な範囲から観察してください。
建物や施設の敷地内への立入りには、所有者などの許可が必要です。
野外博物館は積雪期に閉鎖されるため、訪問前には三笠ジオパークの公式情報も確認しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 旧幾春別炭鉱錦立坑櫓は北海道で最も古い立坑櫓ですか?
現存する立坑櫓では北海道最古とされています。三笠ジオパークによると、1920年12月に完成したとされています。
Q. 錦立坑櫓は見学できますか?
三笠ジオパーク野外博物館の見学ルートから外観を見学できます。ただし、敷地内への立入りには所有者などの許可が必要です。
Q. 旧錦坑坑口と錦立坑櫓は同じ場所ですか?
別のジオサイトです。錦立坑櫓はA-03、旧錦坑坑口はA-04に指定されています。かつて両施設は地下でつながっていました。
Q. 三笠市立博物館から歩いて行けますか?
はい。野外博物館の散策路を進み、途中の案内に従って階段を上がるルートで向かうことができます。冬季閉鎖や通行規制には注意してください。
まとめ|現存する道内最古の立坑櫓を後世に残したい
旧幾春別炭鉱錦立坑櫓は、北海道の炭鉱産業を知るうえで貴重な歴史遺産です。
現地を歩くと、鉄骨の立坑櫓や赤れんが造の建物、設備の痕跡など、当時の姿を伝えるものが現在も残っていることを実感できます。
今回の取材では、学生たちがガイドの説明を受けている場面にも出会いました。
こうした場所を実際に見て、歴史を知る機会があることは大切だと思います。
100年以上前に造られた施設が、今も三笠の森の中に残っている。
その姿を多くの人に知ってもらうことが、貴重な産業遺産を後世に伝えるきっかけになるのではないでしょうか。
三笠ジオパークを訪れる際は、ぜひ錦立坑櫓にも注目してみてください。
取材・撮影:街角タイムス北海道取材部
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参考資料
※現地での体験は取材時の状況です。見学範囲や通行状況は変更される場合があります。

