北海道三笠市の三笠ジオパーク野外博物館には、かつて森林鉄道が走っていたトンネルが残されています。
その名前は「神泉隧道(しんせんずいどう)」。
昭和初期に人の手で掘られた素掘りトンネルで、内部では約1億年前に形成された地層の岩肌を間近に見ることができます。
今回、街角タイムス北海道取材部では、三笠市立博物館から野外博物館の散策路を歩き、神泉隧道を実際に通り抜けてきました。
入口は暗く感じましたが、取材時は人感センサーで照明が点灯。内部には荒々しい岩肌が残っており、普通のトンネルとは異なる雰囲気がありました。
この記事では、神泉隧道の歴史や実際の見どころ、周辺のジオサイト、アクセスやトイレ情報について現地写真とともに紹介します。
神泉隧道とは?かつて森林鉄道が走った素掘りトンネル
神泉隧道は、三笠ジオパーク野外博物館エリアにある、かつての森林鉄道のトンネルです。
この地域では1938年(昭和13年)から1956年(昭和31年)まで、桂沢周辺の山林で切り出した木材を運ぶための森林鉄道が運行していました。
神泉隧道はその線路上に造られたもので、現在は野外博物館の散策路の一部として利用されています。
特徴は、内部に人力で掘り進めた岩肌が残っていることです。
トンネルの周辺には約1億年前の白亜紀に形成された「三笠層」という硬い地層が分布しています。
三笠ジオパークによると、この地層が硬かったため、素掘りという工法が採用されたと考えられています。
素掘りとは、岩盤を掘り進める際に、壁面を全面的に覆うような補強を行わずに掘削する方法です。
そのため、現在でも岩の凹凸が残る、独特のトンネル内部を見ることができます。
詳しくはこちらの取材記事に掲載しております。
ジオパーク
三笠市立博物館から散策路を歩いて神泉隧道へ
今回の取材では、三笠市立博物館を出発し、野外博物館の散策路を歩いて神泉隧道へ向かいました。
途中には、森林鉄道の歴史や地層、化石などを紹介する解説板が設置されています。
野外博物館の散策路は、かつての森林鉄道跡を利用して整備されたものです。
木々に囲まれた道を歩きながら、三笠の自然と歴史に触れられます。
神泉隧道の近くにはイノセラムスの解説板もある
神泉隧道の手前には、イノセラムスを紹介するジオサイトがあります。
イノセラムスは、かつて海に生息していた大型の二枚貝の仲間です。
三笠周辺では白亜紀の地層から化石が発見されており、この地域が遠い昔には海だったことを知る手がかりになっています。

神泉隧道の中へ!人力で掘られた岩肌が見どころ
神泉隧道の見どころは、何といってもトンネル内部です。
整ったコンクリートの壁ではなく、自然の岩盤を掘り進めた跡を間近に見ることができます。
現在、入口などの一部は補強されていますが、内部には岩肌がむき出しになった部分が残っています。

トンネル内は暗いが、取材時には照明が自動点灯した
実際に神泉隧道へ入ってみると、入口から見る内部は暗く感じました。
しかし、取材時は人感センサーが反応し、照明が点灯しました。
照明がつくと、岩の凹凸やトンネルの形状が見えるようになります。
ただし、照明の作動状況は設備の状態などによって変わる可能性があるため、訪れる際は足元に注意してください。

約1億年前の地層を実際に歩いて通り抜ける
神泉隧道を歩いていると、周囲の岩肌がそれぞれ違った形をしていることに気づきます。
長い年月を経て形成された地層を、昭和初期の人々が人力で掘り進めた場所。
トンネルを歩くという短い体験の中に、自然の歴史と人間の営みの両方が残されています。
現在は散策路として利用されていますが、当時はここを森林鉄道が通り、奥地で伐採された木材を運び出していました。
当時の作業を想像しながら歩くと、単なるトンネルとは違った魅力を感じられます。

神泉隧道の近くにある鏡肌(A-13)も見どころ
神泉隧道の周辺には、三笠ジオパークのジオサイト「鏡肌(かがみはだ)」もあります。
鏡肌は、断層運動によって岩石同士がこすれ合い、表面が磨かれてできるものです。
本来は光沢を持つことがありますが、三笠ジオパークの解説によると、この場所の鏡肌は長年の風化により光沢が失われています。
神泉隧道と合わせて見学すると、三笠の地層がどのように形成され、動いてきたのかをより深く知ることができます。

神泉閣跡(A-14)にはかつて温泉旅館があった
神泉隧道の周辺には、かつて「神泉閣」という温泉旅館もありました。
三笠ジオパークの資料によると、神泉閣は1910年(明治43年)頃に造られた旅館で、自然に囲まれた場所に立地していました。
1921年(大正10年)には、文人の大町桂月もこの地を訪れたとされています。
その後、1935年(昭和10年)から始まった森林鉄道の工事に伴い、神泉閣は廃業となりました。
現在の周辺は自然に囲まれていますが、かつてこの場所に温泉旅館があり、人々が訪れていた歴史を知ると、見える風景も少し違ってきます。

神泉隧道を見学する際の注意点・トイレ情報
神泉隧道を訪問する場合は、野外博物館の散策路を歩くことになります。
三笠市立博物館の公式案内によると、野外博物館の散策路は全長約1.2kmで、往復の目安は約40分です。
ただし、各ジオサイトを見学したり、写真を撮影したりする場合はさらに時間がかかります。
実際に今回の取材では、案内板を確認しながら最後まで散策しました。
散策路には仮設トイレが設置されていた
野外博物館を歩いていると、トイレがあるのか不安になる方もいるかもしれません。
今回の現地取材では、散策路の途中に仮設トイレが設置されているのを確認しました。
ただし、仮設トイレの設置状況や利用可否は時期によって変わる可能性があります。
出発前には三笠市立博物館などでトイレを済ませておくと安心です。

スズメバチへの注意喚起もあった
今回の取材では「スズメバチに注意」という張り紙も確認しました。
野外博物館は森の中にある散策路のため、季節によってはハチなどの野生生物にも注意が必要です。
ハチを見かけた場合は刺激せず、静かに距離を取るようにしましょう。
また、落ち葉で滑りやすい場所もあるため、歩きやすい靴で訪れることをおすすめします。
トンネル内は暗くなる場合もあります。照明が必ず作動するとは限らないため、不安な場合は小型ライトを携行すると安心です。

神泉隧道のアクセス・基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 神泉隧道(しんせんずいどう) |
| 所在地 | 北海道三笠市・三笠ジオパーク野外博物館エリア |
| ジオサイト番号 | A-12 |
| 見学方法 | 野外博物館の散策路から見学 |
| 主な特徴 | 森林鉄道跡の素掘りトンネル |
| 駐車場 | 三笠市立博物館の駐車場を利用 |
| トイレ | 博物館側の施設を出発前に確認。取材時は散策路に仮設トイレあり |
| 冬季 | 野外博物館は例年冬季閉鎖 |
| 公式情報 | 三笠ジオパーク・三笠市立博物館 |
車で訪れる場合
車で訪問する場合は、三笠市立博物館の駐車場を利用し、博物館側から野外博物館の散策路へ進む方法が分かりやすいでしょう。
三笠市立博物館
北海道三笠市幾春別錦町1丁目212-1
博物館本館の東側が野外博物館の散策路の起点です。
冬季閉鎖・悪天候に注意
野外博物館は例年11月頃から5月上旬頃まで、積雪によって閉鎖されます。
閉鎖期間は天候によって変わり、大雨などの場合も安全確認のため通行できなくなることがあります。
訪問前に公式情報を確認してください。
神泉隧道のよくある質問(FAQ)
Q. 神泉隧道は何のために造られたトンネルですか?
かつて木材の運搬に使われていた森林鉄道のためのトンネルです。森林鉄道は1938年から1956年まで運行していました。
Q. 神泉隧道の中を歩くことはできますか?
現地取材時には散策路として通行することができました。ただし、設備点検や天候による閉鎖の可能性があるため、最新の通行状況を確認してください。
Q. 神泉隧道の中は暗いですか?
入口からは暗く感じられましたが、取材時には人感センサーによって照明が点灯しました。照明の作動状況は保証されないため、足元には注意が必要です。
Q. 神泉隧道は素掘りですか?
はい。三笠ジオパークによると、周辺の硬い三笠層を人力で掘削した素掘りトンネルです。内部では岩盤の地肌を見ることができます。
Q. 神泉隧道へ行く途中にトイレはありますか?
取材時には野外博物館の散策路に仮設トイレが設置されていました。ただし、設置状況や利用可否は変わる場合があるため、博物館側で事前に済ませることをおすすめします。
まとめ|神泉隧道は三笠の自然と産業の歴史が重なる場所
神泉隧道は、三笠ジオパーク野外博物館に残る歴史的なトンネルです。
約1億年前に形成された硬い地層を、昭和初期の人々が掘り進め、森林鉄道が走っていた場所。
現在では、そのトンネルを実際に歩いて通り抜けることができます。
今回の取材で特に印象に残ったのは、内部の岩肌でした。
人工的に整えられたトンネルとは異なり、岩そのものを掘り進めた様子が伝わってきます。
また、周辺にはイノセラムス、鏡肌、神泉閣跡などのジオサイトもあり、地質の歴史と人々の暮らしを一緒に学べる場所です。
三笠ジオパークを訪れるなら、ぜひ神泉隧道も歩いてみてください。
現地でしか感じられない、歴史の重みがあります。
取材・撮影:街角タイムス北海道取材部
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参考・確認資料
※2026年10月の現地取材と公式資料を基に構成。照明、仮設トイレ、注意喚起などは取材時の状況です。

