札幌を出発し、豊富町、紋別、網走、遠軽を巡る道北・オホーツク周遊旅。
豊富町の「言問の松」を見学し、紋別市で巨大な「カニの爪」と北海道立オホーツク流氷科学センターを訪れた後、次の目的地となる網走市へ向かいました。
紋別の巨大「カニの爪」と流氷科学センターGIZAへ!マイナス20℃の世界を体験
網走で立ち寄ったのは、街を代表する観光スポットの一つ「博物館 網走監獄」です。
映画やドラマなどを通じて名前を知っている方も多いと思いますが、現地では古い建物を見るだけではなく、北海道開拓の歴史と、その裏側にあった過酷な囚人労働について学ぶことができます。
博物館 網走監獄とは
博物館 網走監獄は、明治時代から実際に網走刑務所で使用されていた旧建造物を移築・復原し、保存公開している野外歴史博物館です。
現役の刑務所を公開している施設ではなく、網走刑務所の歴史的建造物や資料を見学するための博物館となっています。
網走国定公園内の天都山にあり、敷地の広さは東京ドーム約3.5個分。重要文化財に指定された建造物4施設や登録有形文化財3施設を含め、数多くの建物や展示施設が点在しています。
赤レンガの正門から網走監獄へ

入口で目を引くのが、赤レンガで造られた重厚な正門です。
大きなアーチの横には、当時の制服を着た看守の人形が立っています。門の奥には木造の庁舎が見え、敷地へ足を踏み入れる前から歴史施設らしい雰囲気を感じられました。
現在の博物館には、正門、庁舎、職員官舎、裁判所法廷復原棟、浴場、独居房、教誨堂など、刑務所に関係するさまざまな建物が保存されています。
敷地が広いため、一つの建物だけを見るのではなく、屋外を歩きながら複数の展示施設を順番に巡っていく形になります。
最大の見どころ「舎房及び中央見張所」

博物館 網走監獄を代表する建物が、国の重要文化財に指定されている「舎房及び中央見張所」です。
中央に置かれた見張所から、5本の舎房が放射状に延びています。この独特の構造は「五翼放射状房」と呼ばれ、少ない人数で複数の舎房を監視しやすいように設計されています。
建物は明治45年に建築された木造平屋建てで、全体には226の房があります。中央見張所からは、それぞれの舎房へ続く通路を一度に確認できる構造です。
まっすぐ延びる木造の舎房
舎房へ入ると、中央の通路を挟んで左右に小さな房が並んでいます。
木材で囲まれた壁、鉄格子の付いた窓、厚みのある扉が続き、通路は奥が見えなくなるほどまっすぐに延びています。
天井の一部は明かりを取り込める造りになっており、差し込んだ光が木造の壁やレンガ敷きの床を照らしていました。
現在の施設は博物館として整備されていますが、閉ざされた扉が両側に続く光景からは、当時の受刑者が置かれていた環境の厳しさが伝わってきます。
格子にも監視のための工夫
舎房の格子は、向かい側の房にいる受刑者同士が直接見通せないよう、断面を平行四辺形や「く」の字形にする工夫が施されています。
壁の内部にも、脱走を防ぐ目的で柱が細かい間隔で配置されていました。雑居房では約30センチ、独居房では約21センチ間隔で柱が組まれていたとされています。
一見すると同じような房が並んでいるだけにも見えますが、建物の細部を見ると、監視や脱走防止を目的としたさまざまな仕組みを確認できます。
天井付近にも目を引く人形展示

舎房内を歩いていると、天井近くの梁を伝う人形が設置されている場所があります。
左右に並ぶ房へ目が向きがちですが、ふと上を見上げると人の姿があり、思わず足を止めてしまう展示です。
館内には受刑者や看守の生活を再現した人形が各所に配置されており、当時の刑務所内の様子を想像しながら見学できます。
北海道開拓を支えた囚人労働の歴史
網走監獄の歴史は、北海道開拓と深く関係しています。
網走刑務所の前身となる「網走囚徒外役所」には、中央道路の開削工事を進めるため、明治23年に1,200人の囚人が送り込まれました。
囚人たちは逃亡防止のため2人ずつ鎖でつながれ、山中で道路工事に従事しました。食料不足や栄養失調、けがなどが相次ぎ、看守を含めて200人以上が犠牲になったとされています。(博物館 網走監獄)
現在の北海道の道路や街の発展が、こうした過酷な労働と多くの犠牲の上に築かれていることも、博物館 網走監獄で知っておきたい歴史です。
農園作業を再現した人形展示

博物館 網走監獄の屋外には、囚人たちが農作業に従事する様子を再現した人形展示もあります。
オレンジ色の囚人服を着た人形が、畑で作業をしたり、積み上げられたわらの周囲で働いたりする姿が表現されています。
その近くには白い制服を着た看守の人形も立っており、当時の作業風景をイメージしやすい展示になっていました。
この展示は、農園作業を行っていた「旧網走刑務所 二見ヶ岡刑務支所」に関連するものです。
二見ヶ岡刑務支所は、1896年に網走刑務所の農園作業を担う施設として設置されました。広い農場で、収容者が作物の管理から収穫まで行っていた施設で、現在保存されている建築群は国の重要文化財に指定されています。
舎房や正門のような建築物だけでなく、屋外の人形展示を見ることで、当時の囚人たちが刑務所内外でどのような作業をしていたのかを、より具体的に想像できます。
訪問時は周囲の木々が黄色や赤色に色づいており、オレンジ色の囚人服と秋の景色が印象的でした。広い敷地を歩く際には、建物だけでなく、こうした屋外展示にも注目してみてください。
監獄歴史館では中央道路開削を映像で紹介
敷地内にある監獄歴史館では、中央道路の開削をテーマとした映像展示を見ることができます。
左右と正面の3面に映像を映し出す「赫い囚徒の森」体感シアターが設置され、道路工事が行われた当時の状況を約7分間の映像で伝えています。
建物だけを眺めるのではなく、監獄歴史館の展示とあわせて見学することで、網走に監獄が設けられた背景や囚人労働の歴史を理解しやすくなります。
一部の舎房では保存修理工事を実施中
博物館 網走監獄では、重要文化財を将来へ残すため、2025年6月24日から「舎房及び中央見張所」の耐震保存修理工事が行われています。
現在は五翼放射状舎房のうち、第1舎房と第3舎房には立ち入れません。第2舎房、第4舎房、第5舎房は通常どおり見学できます。
立ち入れない場所については、仮想現実映像や立体的に建物内を確認できる映像、二次元コードによる解説が用意されています。
工事状況や見学可能な範囲は変わる可能性があるため、訪問前に公式サイトを確認しておくと安心です。
見学時間は1時間30分から2時間が目安
博物館 網走監獄の敷地内には、多数の歴史的建造物や展示施設があります。
主要な建物を順番に見て回る場合は、少なくとも1時間30分ほど確保しておくのがおすすめです。
展示資料や映像をじっくり見たり、監獄食堂やミュージアムショップにも立ち寄ったりする場合は、2時間以上あると余裕を持って楽しめます。
屋外を歩く区間も多いため、夏は日差し対策、冬は十分な防寒対策をして訪れましょう。
現在の刑務所の食事を再現した「体験監獄食」
施設内では、現在の網走刑務所で提供されている食事の献立を再現した「体験監獄食」も提供されています。
監獄食堂で食べられるため、時間に余裕がある場合は見学とあわせて立ち寄れます。
営業時間や提供状況が変更される場合もあるため、監獄食を目的に訪れる場合は事前に確認してください。
博物館 網走監獄の基本情報
以下は2026年7月13日に公式サイトで確認した内容です。(博物館 網走監獄)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | 博物館 網走監獄 |
| 所在地 | 北海道網走市字呼人1-1 |
| 開館時間 | 9:00~17:00 |
| 最終入館 | 16:00 |
| 休館日 | 12月31日、1月1日 |
| 大人料金 | 1,500円 |
| 高校生料金 | 1,000円 |
| 小・中学生料金 | 750円 |
| 電話番号 | 0152-45-2411 |
| 駐車場 | 無料・乗用車400台 |
| JR網走駅から | 車・タクシーで約7分、バスで約10分、徒歩約40分 |
高校生料金を利用する場合は、学生証の提示が必要です。クレジットカードや電子マネーにも対応しています。
建物を見るだけでは終わらない網走の歴史スポット
博物館 網走監獄は、古い刑務所の建物を見学するだけの場所ではありません。
長く延びる木造の舎房や重厚な房の扉、中央から5方向を監視できる独特の構造を実際に見ることで、当時の刑務所の空気を感じられます。
その一方で、北海道の道路や街の発展を支えた囚人労働と、多くの命が失われた歴史について知る場所でもあります。
網走市を初めて訪れる方はもちろん、北海道の歴史に関心がある方にも、一度は立ち寄ってほしい施設です。
豊富町から紋別、網走と進んできた今回の旅は、次の目的地となる遠軽町へ向かいます。
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