山形県鶴岡市観光ガイド:出羽三山と海・食文化が紡ぐ“日本遺産のまち”

羽黒山五重塔の写真 山形県

山形県鶴岡市ってどんな街?

山形県鶴岡市(つるおかし)は、庄内地方の南西部に位置する人口約12万人の都市で、日本海に面した港町と、出羽三山(でわさんざん)などの山岳信仰が融合した独特の文化が息づく地域です。

2014年にユネスコ(UNESCO)創造都市ネットワーク“食文化”部門の一つとして登録され、豊かな食材と伝統的な調理法を活かした“食の都”として国内外から注目を集めています。

また、羽黒山・月山・湯殿山の出羽三山を中心とする山岳修験の歴史や、江戸時代に酒井藩が治めた城下町の雰囲気が色濃く残り、神秘的な信仰文化と近世以降の武家文化が混ざり合うロマンを感じさせてくれます。

さらに、加茂水族館(クラゲドリーム館)や湯野浜温泉など海辺の観光資源も充実し、海と山、食と文化を同時に楽しめる“日本遺産のまち”として幅広い旅行スタイルに対応できるのが鶴岡市の大きな魅力です。

山形県鶴岡市の歴史と文化の背景とは?

鶴岡市は、古代から出羽国(でわのくに)の拠点の一つとして出羽三山信仰が盛んに行われ、平安期には山岳修験や熊野信仰との交流が深まっていきました。

中世以降は戦国大名の争奪を経て、江戸時代には庄内藩(酒井氏)が統治し、城下町として商業・農業が発達。米どころ庄内平野の恵みや日本海の漁業資源を活かし、江戸〜明治にかけて繁栄を続けます。

庄内米の稲の写真

近代になると、鉄道や道路の整備によって農業・漁業製品の流通が一段と活発化し、大正・昭和期には“庄内平野の穀倉地帯”として日本全国に庄内米を供給。

平成の大合併で旧鶴岡市と近隣町村が合併して現在の鶴岡市が誕生しましたが、伝統の農漁業と出羽三山の宗教文化、さらにユネスコ創造都市ネットワークに認定された食文化が観光の大きな柱となっています。

山形県鶴岡市の主な観光スポットとは?

羽黒山の写真

出羽三山(羽黒山・月山・湯殿山)

鶴岡市の象徴ともいえるのが“山岳信仰の聖地”「出羽三山(でわさんざん)」。

それぞれ「羽黒山」「月山」「湯殿山」で構成され、古くから山伏(修験道)の行場として多くの参拝者が訪れます。

中でも「羽黒山」は標高414mと手頃な高さながら、2,446段の石段や樹齢数百年の杉並木、国宝に指定された「羽黒山五重塔」など見応えが満載。

三山の中で通年アクセス可能なのが羽黒山で、夏は月山・湯殿山も開山し、朝駆け登山や山岳修行を体験する人も増えています。

羽黒山五重塔の写真

羽黒山五重塔(国宝)

出羽三山巡りの代表的見どころ「羽黒山五重塔」は、杉木立に囲まれた神秘的な空気漂う木造建築。高さ29mほどの塔は平将門(伝承)によって建てられたとも伝えられ、その後何度か再建を経て現在に至ります。

湿度の高い山中で苔むした石段と杉並木が創り出す厳かな雰囲気は、訪れた人を別世界へ誘います。

参道途中には手水舎や小さな祠が点在し、五重塔を拝んだ先にある三神合祭殿(さんじんごうさいでん)を参拝するのが出羽三山巡拝の基本コースとなります。

クラゲドリーム館(鶴岡市立加茂水族館)の写真

クラゲドリーム館(鶴岡市立加茂水族館)

日本海に面した「加茂水族館」は、別名「クラゲドリーム館」と呼ばれ、世界一ともいわれるクラゲ展示種類数が自慢の水族館。

大小さまざまなクラゲ水槽が幻想的にライトアップされ、「クラゲの空間」に包まれる体験は国内外で話題を呼んでいます。

クラゲショーやタッチプール、アシカ・アザラシのパフォーマンスなど、ファミリーからカップルまで楽しめる要素が充実。館内のカフェでもクラゲにちなんだユニークなメニューを楽しめます。

致道博物館の写真

致道博物館(ちどうはくぶつかん)と鶴岡公園

鶴岡市街地にある「致道博物館」は、庄内藩校「致道館」の名を受け継ぐ形で作られた総合博物館。

旧庄内藩主・酒井家の別邸や藩時代の建造物、和洋折衷の石原家住宅などを敷地内に移築・展示し、江戸〜近代の建築や生活文化を学ぶことができます。

博物館周辺の「鶴岡公園」は旧庄内藩の鶴ヶ岡城跡地で、春は桜の名所、夏には緑豊かな散策路、秋には紅葉が楽しめ、市街地観光において外せないスポットです。

山形県鶴岡市の地元グルメ・特産品とは?

庄内米・つや姫・だだちゃ豆

庄内平野は日本有数の米どころとして知られ、鶴岡市でも「つや姫」「はえぬき」など高品質な品種が栽培されています。

程よい粘りと甘みが特徴で、地元の旅館や飲食店で味わう炊き立てのご飯は格別。

また、鶴岡特産の「だだちゃ豆」は独特の風味と甘みが人気で、夏には茹でたてをつまみながらビールを楽しむ“だだちゃ豆文化”が市民の日常に根付いています。

庄内豚のカツカレーの写真

庄内浜の海鮮・庄内豚など

日本海に面した鶴岡市は、庄内浜の漁港から新鮮な魚介類が水揚げされるため、海鮮も充実。夏場の岩ガキ(岩牡蠣)や四季折々の魚、カニ、エビなど、地元の居酒屋や市場で堪能できます。

さらに、“庄内豚”を使ったカツ丼やラーメンなども人気が高く、観光客向けにアレンジしたグルメが多数存在。農と海の恵みを活かした多彩な食が、ユネスコの創造都市ネットワーク“食文化”部門への登録につながりました。

山形県鶴岡市の祭り・イベント情報とは?

鶴岡天神祭の写真

鶴岡天神祭

毎年5月下旬に開催される「鶴岡天神祭(化けものまつり)」は、鶴岡天満宮の例大祭として、奇抜な仮装をした参加者が“化けもの”となって市街地を練り歩くユニークな祭り。

だれが化けているのか分からない格好をする風習があり、化けもの同士が出会うと互いに“御免なさい”と声を掛け合う風情が楽しめます。

見物客にも“化けもの”が紛れ込むことがあるため、独特の盛り上がりを体験できる希少な祭事です。

赤川花火大会の写真

赤川花火大会

庄内地方最大級の花火大会として、毎年8月に「赤川花火大会」が開催されます。

鶴岡市内を流れる赤川河川敷を舞台に、音楽とシンクロしたスターマインや尺玉などが夜空を彩り、全国的に評価の高い花火大会として知られます。

多くの観光客や地元民が訪れ、一日限りの華麗な花火絵巻を楽しむ。会場周辺は大変混雑するため、公共交通機関や早めの移動計画がおすすめです。

山形県鶴岡市のアクセス・交通手段

鶴岡駅の写真

公共交通機関

新幹線:東京駅から山形新幹線「つばさ」で新庄駅(約3時間)へ、そこから陸羽西線に乗り換え鶴岡駅(約50分)。またはJR羽越本線で酒田駅や鶴岡駅まで行くルートも。

飛行機:東京・名古屋・大阪などから庄内空港へ就航便あり。空港から鶴岡市街地までバスで約30分。

バス:仙台や東京からの高速バスも運行(鶴岡バスセンターなどで下車)。

自家用車・レンタカー

高速道路:山形自動車道「鶴岡IC」「鶴岡西IC」や日本海東北自動車道などを活用し、市内中心部や出羽三山方面へアクセス。

注意点:冬季は雪道や凍結が発生しやすく、特に山岳部(羽黒山・月山方面)は積雪量が多いためスタッドレスタイヤ必須。シーズン中のイベント(赤川花火大会など)時は駐車場が混雑する場合が多い。

山形県鶴岡市のモデルコース・回り方の提案

【1日コース】出羽三山と食を楽しむ

  1. 午前:庄内空港または新庄駅からレンタカーで羽黒山へ移動(約40分〜1時間)。杉並木と羽黒山五重塔を見学し、石段を登って三神合祭殿を参拝。
  2. 昼食:羽黒山周辺や鶴岡市街地で精進料理や地元の食堂で庄内米を使った定食を味わう。
  3. 午後:加茂水族館(クラゲドリーム館)へ足を伸ばし、世界最多種のクラゲ展示を体験。
  4. 夕方:鶴岡市街地に戻り、お土産や地酒をチェック。夜行バスや宿泊を選択し、翌日さらに観光を楽しむのも◎。

【2日コース】温泉・歴史遺産&海鮮巡り

  1. 1日目(午前):東京などから新幹線で新庄駅へ(約3時間)、陸羽西線に乗り継ぎ鶴岡駅に到着。まずは車やバスで致道博物館や鶴岡公園を散策し、庄内藩の歴史に触れる。
  2. 1日目(午後):車またはバスで湯野浜温泉やあつみ温泉へ移動し、温泉旅館で一泊。夕食には庄内浜の海鮮や庄内牛などを味わい、温泉でリラックス。
  3. 2日目(午前):翌朝早く温泉街を散策し、海辺の朝日を楽しむ。再び鶴岡市街へ戻り、クラゲドリーム館か羽黒山を訪問して文化&自然を満喫。
  4. 2日目(午後):鶴岡駅からJRまたはバス、庄内空港から飛行機で帰路へ。時間があれば、道の駅や直売所で新鮮な野菜・果物や地酒を購入しても良い。

山形県鶴岡市観光ガイド:出羽三山と海・食文化が紡ぐ“日本遺産のまち”のまとめ

山形県鶴岡市は、庄内平野の広大な農地と日本海の恵み、そして出羽三山に代表される山岳信仰が融合した独特の歴史文化をもつ地域です。

羽黒山五重塔やクラゲドリーム館などの観光資源を中心に、ユネスコ創造都市ネットワークに登録された「食文化」を活かしたグルメや農業体験も大きな魅力。

季節ごとに表情を変える自然美や温泉街の情緒、そして祭りや地域イベントを通じて、心からの“おもてなし”を感じられるでしょう。

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