岩手県奥州市ってどんな街?
岩手県の最南端に位置する奥州市(おうしゅうし)は、北上川流域の肥沃な平野と雄大な山々に囲まれた農業の盛んな地域です。
市名は、かつてこの地が「奥州」と呼ばれた歴史に由来し、その名の通り古代から中世にかけて奥州藤原氏や南部氏など多彩な権力者が行き交った場所として栄えました。
平成の大合併により、水沢市・江刺市・前沢町・胆沢町・衣川村が合併し、現在の広域な「奥州市」が誕生しています。

南部鉄器や漆器、米や牛肉、ホップなどの農産物が主力産業として名高く、工業団地も整備されているため、“ものづくり”と“農畜産”が支える活気ある街です。
世界遺産・平泉の隣接市としても知られ、歴史と自然を活かした観光スポットや豊富なグルメ、文化イベントも充実。東京からは新幹線で2時間強の「水沢江刺駅」が玄関口となり、アクセスも良好です。
岩手県奥州市の歴史と文化の背景とは?
この地域には、古くは縄文時代から人々が定住し、豊かな土壌と水資源を活かして農耕や狩猟を行ってきました。
平安末期には、奥州藤原氏の領地として黄金文化が花開き、当時の華やかな仏教文化の影響を各所に感じられます。戦国から江戸期にかけては南部氏や伊達氏の支配下となり、宿場町や城下町として機能。
近代に入ると、明治期の開拓政策や鉄道整備により米や牛の生産が一段と拡大。さらに、昭和・平成期にかけて工業団地の誘致や大合併が進み、現代の「奥州市」が誕生しました。
市内には江刺区や前沢区など旧市町村の独自の祭礼や伝統芸能が受け継がれ、地域ごとに多様な文化が息づいています。
岩手県奥州市の主な観光スポットとは?

水沢江刺駅周辺(胆沢川・水沢公園)
東北新幹線の水沢江刺駅は、奥州市観光の玄関口。
駅周辺から車やバスで少し行くと、胆沢川や北上川の雄大な流れを感じられる自然スポットが広がります。四季折々の彩りが魅力的な「水沢公園」は、春の桜や秋の紅葉で多くの市民や観光客が訪れ、散策を楽しむ姿が見られます。
レジャー施設や軽食スタンドもあり、家族連れやカップルにおすすめのリラックスエリアです。

妙見山黒石寺
妙見山黒石寺(みょうけんざん こくせきじ)は、岩手県奥州市に位置する天台宗の古刹です。
天平元年(729年)に行基菩薩が開基し、当初は東光山薬師寺と称していましたが、延暦年間(782年 – 806年)の蝦夷征伐による兵火で焼失しました。その後、嘉祥2年(849年)に慈覚大師円仁が再興し、現在の寺号となりました。
本尊の木造薬師如来坐像は、貞観4年(862年)の墨書銘があり、現存する日本最古の年紀を持つ仏像として国の重要文化財に指定されています。
また、平安時代の木造四天王立像や、永承2年(1047年)に造られた木造僧形坐像(伝・慈覚大師像)も重要文化財です。

江刺藤原の郷
平安時代の街並みや建物を再現した歴史テーマパーク「江刺藤原の郷」は、過去に多くの大河ドラマや映画のロケ地として利用されてきたことで有名。
藤原氏の時代をイメージした建造物や衣装のレンタル、アトラクションなどが用意されており、まるで平安絵巻の中に入り込んだかのような体験が可能。古代から中世の生活や祭礼を体感し、写真映えするスポットとしても人気を集めています。

胆沢ダム・胆沢川渓谷
奥州市西部の山間部に位置する「胆沢ダム」は、岩手県内最大級の多目的ダム。ダム周辺は自然豊かで、春の新緑から秋の紅葉、冬の雪景色まで美しい景観を楽しめるドライブコースとして人気があります。
ダムの堤頂部を散策できる期間(雪解けから晩秋まで)には、巨大なダムの迫力ある姿を間近で見学可能。さらに、近くの胆沢川渓谷ではキャンプやバーベキュー、トレッキングなどアウトドアを満喫できるスポットが点在し、休日のリフレッシュに最適です。
岩手県奥州市の地元グルメ・特産品とは?

前沢牛・奥州牛
すでに挙げたように、「前沢牛」は全国的に名高いブランド牛として多くのファンを持ちます。
さらに市内には、前沢牛ほどの等級はないもののリーズナブルに楽しめる「奥州牛」もあり、いずれも口溶けの良い霜降りが特徴。
焼肉・ステーキ・すき焼き・しゃぶしゃぶなど、その料理法により違った味の魅力を堪能できます。各飲食店では、個性的な部位や調理法にこだわったメニューが多く、食べ歩きも楽しめるでしょう。
岩手県奥州市の祭り・イベント情報とは?
江刺甚句まつり
江刺区を舞台に毎年5月初旬に開催される「江刺甚句まつり」。
地元の民謡「江刺甚句」に合わせた踊りや太鼓演奏、華やかな山車が登場し、夜にはライトアップされた姿が幻想的な雰囲気を醸し出します。地元住民との一体感を味わいながら、郷土芸能や伝統の力を再認識できるイベントとして人気を集めます。
奥州YOSAKOI
奥州市内で行われる「奥州YOSAKOIまつり」は、YOSAKOIチームが華麗な衣装と迫力ある踊りを披露し、街を熱気に包む祭りです。
主に9月頃に開催され、地元チームはもちろん県外からも多くのチームが参加。観客が飛び入り参加できる企画や各種ステージイベントもあり、初めての人でも気軽に楽しめるのが特徴。毎年進化する振付や音楽に合わせて、奥州の街がYOSAKOIのリズムで盛り上がります。
岩手県奥州市へのアクセス・交通手段とは?

公共交通機関
新幹線:東京駅から東北新幹線で水沢江刺駅まで最速約2時間15分。仙台駅からは約40分ほど。駅から市中心部や各観光地へは路線バスまたはタクシーを利用。
在来線:一ノ関駅(隣の一関市)から東北本線や大船渡線に乗り換えて行くパターンもあり。
バス:仙台駅や花巻空港などから高速・路線バスが発着している。
自家用車・レンタカー
東北自動車道「水沢IC」や「奥州スマートIC」などを利用し、市内各所へスムーズにアクセス可能。平泉や一関の観光地とも近いため、ドライブを楽しみながら広範囲を巡る場合にも便利。
岩手県奥州市観光のモデルコース・回り方とは?
【1日コース】前沢牛&厳美渓を満喫
- 午前:新幹線で水沢江刺駅到着後、レンタカーまたはタクシーで前沢区へ移動し、ブランド牛「前沢牛」を使ったランチを楽しむ(ステーキ、すき焼き、しゃぶしゃぶなどお好みの調理法で)。
- 昼下がり:江刺藤原の郷を軽く見学して歴史を感じる、もしくは近隣の工房やカフェで休憩。
- 午後:厳美渓へ向かい、川沿いの遊歩道を散策。「空飛ぶ団子」を体験しながら、渓谷美を満喫。写真撮影を楽しむ。
- 夕方以降:市街地へ戻り、ホテルや温泉宿でゆっくり過ごすか、新幹線やバスで帰路につく。
【2日コース】文化&アウトドアも味わう旅
- 1日目(午前):東京駅などから新幹線で水沢江刺駅着。荷物を宿へ預け、まずは江刺藤原の郷で平安時代を体感。衣装レンタルやロケセット見学を楽しむ。
- 1日目(午後):市内で昼食に前沢牛料理を味わい、手づくり村や南部鉄器などの工房を見学。夕方には温泉宿にチェックインし、地元食材を活かした夕食でリラックス。
- 2日目(午前):早起きして胆沢ダム方面へドライブ。ダム見学や渓谷散策、紅葉や新緑の風景を楽しむ。
- 2日目(午後):帰路の前に厳美渓へ立ち寄り、空飛ぶ団子を体験。市街へ戻り、新幹線や高速バスで帰路へ。
岩手県奥州市観光ガイド:世界遺産と自然が織りなす“南岩手の玄関口”のまとめ
岩手県奥州市は、「前沢牛」などの食の魅力、古代から中世にかけての「奥州藤原氏」の歴史文化、そして「厳美渓」や「胆沢ダム」などの自然景観が息づく、バラエティ豊かな観光エリアです。
新幹線の停車駅「水沢江刺駅」により東京や仙台方面からアクセスしやすく、平泉や一関、さらには岩手中南部の他地域と合わせた旅行計画も立てやすいのが特徴。