函館市ってどんな街?
北海道函館市(はこだてし)は、道南(どうなん)地域に位置する港町で、北海道を代表する歴史都市のひとつです。
三方を海に囲まれ、函館山を背景に扇状に広がる市街地は、異国情緒ただよう街並みと美しい夜景で国内外の旅行者を魅了してやみません。

函館は1859年に開港し、横浜・長崎と並ぶ日本最初の国際貿易港として海外との交流が始まりました。以来、西洋文化を積極的に取り入れた建築や食文化が発展し、近代日本の歩みを象徴する地としても重要な位置を占めています。
現在では、新幹線の開通や空港の整備によってアクセスが向上し、年間を通じて多くの観光客が訪れます。
夜景観光やレトロな洋館巡り、ご当地グルメ(海鮮やスイーツなど)に加え、四季折々の自然を楽しむことができるため、ファミリーやカップル、一人旅など、どんなスタイルの旅にも対応しやすいのが函館の大きな魅力です。
函館市の歴史と文化の背景とは?
函館の歴史は、江戸時代後期の開港によって大きく転換を迎えました。
1854年の日米和親条約、そして1859年の「箱館(当時の表記)開港」によって、海外から多くの人や文化が流入し、日本の近代化に深く寄与していきます。

幕末期には旧幕府軍と新政府軍が争った「箱館戦争」の舞台にもなり、五稜郭(ごりょうかく)を中心とする激しい戦いの痕跡が今なお残っています。
明治以降は、貿易港としての機能をさらに拡充し、西洋建築やキリスト教教会、外国人墓地などが相次いで建設。
明治・大正期のレトロな洋風建築群は、函館らしい景観として観光客に広く親しまれています。戦後も北海道の玄関口として再開発が進みながらも、古き良き時代の面影と異国情緒を大切に維持してきたのが函館の魅力。
和洋折衷の建築様式や多文化が融合したイベントなど、歴史が息づく独特の文化が色濃く残されています。
函館市の主な観光スポットとは?

函館山(はこだてやま)
函館観光の代名詞ともいえる「函館山」。
標高約334mの山頂から見下ろす夜景は「世界三大夜景」に数えられたこともあり、きらめく市街地と湾のコントラストが生み出す幻想的な光景は必見です。
山頂へはロープウェイ、バス、タクシー、自家用車など多彩な手段でアクセス可能。晴れた日中には、津軽海峡や下北半島までも望む大パノラマを楽しめます。

五稜郭(ごりょうかく)
星形の城郭が特徴的な「五稜郭」は、幕末期に江戸幕府によって築かれた日本初の西洋式要塞です。
戊辰戦争最後の舞台となった歴史的名所であり、公園として整備された現在は、市民や観光客の憩いの場として四季を通じて親しまれています。

五稜郭タワーの展望台からは、星形の美しい全景を一望でき、桜のシーズン(4月下旬〜5月上旬)や冬のライトアップ時期には幻想的な写真を撮ることができます。
公園内の「箱館奉行所」復元建物では、幕末期の建築様式や資料展示を通じて歴史を学ぶことが可能です。

元町エリア(教会群・洋館・坂道)
函館の異国情緒を象徴するエリアが市街地西部に広がる「元町地区」です。
開港後に外国人居留地として発展した場所で、カトリック元町教会やハリストス正教会などの教会群、レンガ造りの洋館、石畳の坂道など、レトロな雰囲気が漂います。
チャチャ登りや八幡坂といった急勾配の坂からは、函館港を望む絶景が広がり、思わず写真を撮りたくなるビュースポットが点在しています。

また、旧イギリス領事館や旧函館区公会堂といった歴史的建造物の内部見学もおすすめ。洋風建築ならではの優雅さを肌で感じられるでしょう。

金森赤レンガ倉庫
函館のウォーターフロント地区に立ち並ぶ「金森赤レンガ倉庫」は、明治末期から大正初期にかけて建築された倉庫群をリノベーションした商業施設。
現在はショップやレストラン、美術ギャラリーなどが入り、レトロ感とモダンが融合した独特の空間が魅力です。
ライトアップされた夜間の景色はさらにロマンチックで、カップルやグループ旅行にも人気。港を眺めながら散策したり、食事やスイーツを楽しむことで、函館の歴史と現代の洗練を同時に味わうことができます。
函館市の地元グルメ・特産品とは?

函館朝市の海鮮グルメ
函館を訪れたら見逃せないのが、「海鮮グルメ」です。
津軽海峡や噴火湾をはじめとする近海で獲れるイカ、ウニ、ホッケ、タラコなどが新鮮な状態で流通し、市内の朝市や海鮮市場、寿司店で絶品料理を堪能できます。
特に「函館朝市」はイカ釣り体験ができる店があるなど、観光客に大人気。朝早くから営業しているため、ホテルを出てからすぐに海鮮丼やいくら丼を楽しむことが可能です。

塩ラーメン
また、函館ラーメンも地元のソウルフードとして有名。あっさり塩味のスープに、歯切れの良いストレート麺が絡むスタイルが特徴で、市内には老舗から新進気鋭の店まで多数あります。
加えて、かつて“ロシアパン”とも呼ばれた洋菓子文化が花開いた歴史から、洋菓子店やスイーツショップも多く、クリームたっぷりのケーキやカステラなど、歴史に根ざした「函館スイーツ」を味わうのも楽しみの一つです。

ラッキーピエロ
ラッキーピエロ(Lucky Pierrot)は、北海道函館市を中心に展開する地域密着型のハンバーガーチェーンです。
店舗ごとに異なるテーマを持った内装が特徴で、個性的な外観や店内装飾が目を引きます。
看板メニューである「チャイニーズチキンバーガー」をはじめ、各種バーガーやカレーなどユニークなメニューを豊富に取りそろえており、地元の人々だけでなく観光客からも高い人気を集めています。

やきとり弁当
ハセガワストアは、北海道函館市を中心に展開する地元密着型のコンビニエンスストアチェーンで、その名物として知られるのが「やきとり弁当」です。
名前こそ“やきとり”ですが、実際には豚肉を使用しており、甘辛いたれを絡めて炭火で焼き上げるスタイルが特徴。
店頭では焼きたてを提供しており、函館を訪れる観光客や地元住民から幅広い支持を得ています。食べ応えのある豚串と特製だれの風味の組み合わせがクセになる、函館グルメの代表的存在です。
函館市の祭り・イベント情報とは?
函館市では、四季を通じて多彩なイベントが行われ、その度に街が華やかな雰囲気に包まれます。代表的なものとしては、夏の「函館港まつり」が挙げられます。
8月上旬に開催され、市民総出で踊り歩く「ワッショイはこだて」や、夜空を彩る花火大会など、港町らしい盛り上がりを体験できます。
また、冬には「函館クリスマスファンタジー」が開催され、金森赤レンガ倉庫周辺に巨大なクリスマスツリーが飾られ、イルミネーションと海のコントラストが生み出す幻想的な光景が好評です。
さらに、毎年春から初夏にかけては「函館五稜郭祭」や「函館桜まつり」など、歴史と自然を楽しむ祭りが開催されるほか、秋には紅葉や食のイベントも充実。
自分の訪問時期に合わせて祭り情報をチェックし、現地の季節感やお祭り文化を思う存分堪能するのがおすすめです。
函館市へのアクセス・交通手段とは?

公共交通機関
函館へのアクセスは、飛行機・新幹線・フェリーなど多彩な方法があります。
飛行機:函館空港は東京(羽田・成田)や大阪(伊丹・関西)、名古屋(中部)など各地からの直行便があり、市街地へはバスやタクシーで約20〜30分ほど。
新幹線:北海道新幹線が開通し、新青森駅〜新函館北斗駅間を最速約1時間。新函館北斗駅から函館駅までは在来線(道南いさり火鉄道)やバスで30分前後。
フェリー:青森港や大間港など本州側からフェリーで函館港へ行くルートもあり、マイカー旅行派に人気。
市内観光では路面電車(市電)が便利。函館駅や元町、五稜郭エリアなど主要観光スポットをカバーしており、1日乗車券で気軽に移動できます。
また、路線バスやタクシー、レンタカーを組み合わせることで、郊外の温泉地や自然エリアにも足を伸ばしやすくなります。
自家用車・レンタカー
レンタカーで函館観光を計画している場合、歴史的市街地は道路が狭く一方通行も多いことから、若干の注意が必要です。
ただし、駐車場は駅周辺や五稜郭、赤レンガ倉庫エリアなどに複数存在し、コインパーキングやショッピング施設の駐車場が利用可能。
郊外の大沼公園や函館空港周辺の温泉地を巡る際には車があると便利で、時間の自由度が高まります。
特に冬季は積雪が少なく路面凍結のリスクが比較的低いとはいえ、急勾配の坂がある元町地区などでは安全運転に十分気をつけましょう。
函館市観光のモデルコース・回り方とは?
【1日コース】定番スポットをギュッと詰め込むプラン
午前:函館駅周辺のホテルを出発し、市電で「函館朝市」へ。朝食に海鮮丼やイカ釣り体験を楽しむ。
昼前後:元町エリアへ移動し、教会群や旧イギリス領事館、ハリストス正教会などを散策。坂道からの港の眺望を堪能。
午後:市電またはバスで五稜郭公園へ。五稜郭タワーに登って星形の要塞と函館市街を一望し、箱館奉行所も見学。
夕方〜夜:再び市電で湯の川温泉に立ち寄るか、函館山ロープウェイで夜景観賞。夕食は金森赤レンガ倉庫周辺で海鮮料理か、ラーメン店を訪れて函館の味を締めくくる。
【2日コース】ゆったり満喫プラン
1日目(午前):新函館北斗駅または函館空港到着後、レンタカーで大沼公園へ足を伸ばす。美しい湖と駒ヶ岳の景色を楽しみながらボートやサイクリングを満喫。
1日目(午後):市内に戻り、五稜郭タワーや公園を散策。周辺のカフェで休憩した後、ホテルにチェックイン。夜は金森赤レンガ倉庫エリアやベイエリアで食事と夜景を楽しむ。
2日目(午前):市電で元町地区へ。洋館や教会群を巡り、坂道からのパノラマビューを堪能。異国情緒あふれる街並みに浸ったら函館朝市でランチ。
2日目(午後):午後はロープウェイで函館山へ登り、昼間の展望を楽しむ。天候が良ければ日没まで滞在し、夕日から夜景へ移り変わるドラマチックな風景をじっくり満喫。その後は駅へ戻り、新幹線や飛行機で帰路につく。
北海道函館市観光ガイド:異国情緒と夜景が彩る港町を満喫のまとめ
函館市は、幕末から明治、大正・昭和を経て現代に至るまで、海外文化と日本文化が融合しながら独自の歴史と景観を紡いできました。
レトロモダンな元町や五稜郭の史跡、きらめく函館山の夜景、そして津軽海峡の恵みを存分に活かした海鮮グルメなど、多彩な魅力にあふれています。
市電で気ままに街を巡るのもよし、レンタカーで大沼や郊外の温泉地を訪ねるのもよし。どの季節に来ても違う表情を見せるのが函館の面白さです。