網走市ってどんな街?
北海道網走市(あばしりし)は、オホーツク海に面した道東地方の港町で、冬の流氷や美しい湖沼群、独特の歴史を背景にした観光スポットが点在するエリアとして知られています。
「網走刑務所」という名前から連想されるように、過去には開拓使が行った囚人労働や全国から集められた受刑者の歴史などが根強く、現在はそれが地域の観光資源へと昇華。
近年は世界初の流氷観光砕氷船「おーろら」や、網走監獄博物館など、魅力的な観光施設が多数誕生しています。

※写真は流氷観光砕氷船「おーろら」
また、豊かな自然環境を活かした漁業や農業も盛んで、新鮮な海産物や乳製品などのグルメが楽しめるのも大きな魅力。
道東の空の玄関口である女満別空港(めまんべつくうこう)からも近く、車で1時間ほどでアクセスできるため、冬の流氷シーズンだけでなく四季折々に訪れるリピーターも多い地域です。
網走市の歴史と文化の背景とは?
網走地域には、古くからアイヌの人々が暮らし、狩猟や漁を通じて自然との共生を図ってきました。
明治時代以降、北海道開拓が本格化すると本州からの移住者が増加し、同時に「囚人労働による道路建設」が行われたのが網走の大きな歴史的転換点です。
厳しい自然環境の中で、受刑者たちが辺境の地を切り拓き、交通網や都市基盤を築き上げていきました。
こうした囚人労働の歴史から「網走刑務所」の名は全国に知れ渡り、のちに施設の一部は「博物館網走監獄」として再現・保存。時代を経て観光地として整備されると、近代日本の開拓と刑務所の歴史を学べる貴重なスポットになりました。
一方で、オホーツク海沿岸での漁業が発展し、サケやホタテ、タラバガニなど豊富な海産物を道内外に供給する港町としても繁栄。現在では自然・歴史・グルメが融合した観光都市として、多くの旅行者を魅了しています。
網走市の主な観光スポットとは?

流氷観光砕氷船「おーろら」
網走市を象徴する冬の観光といえば「流氷」です。1月下旬から3月上旬頃にかけて、オホーツク海に漂着する白銀の氷塊は、まるで別世界のような美しさを生み出します。
その流氷を間近で体感するなら、観光砕氷船「おーろら」に乗船するのが定番。
砕氷船が氷を割りながら進む迫力や、氷上に休むオオワシやアザラシの姿を見ることもあり、息をのむような体験ができます。防寒対策を万全にして、冬ならではのオホーツクの魅力を味わってみましょう。

博物館 網走監獄
明治期から受刑者労働によって北海道開拓が進められた歴史を物語る「博物館 網走監獄」。
実際の旧網走刑務所の建物の一部を移築・復元しており、獄舎や独居房、作業場など当時の様子を間近に見学できる体験型の野外博物館です。
音声ガイドやパネル展示、リアルな人形の展示などを通じて、受刑者たちの過酷な生活や道路建設の苦労、明治・大正期の刑務所運営に触れることができます。
広大な敷地を歩き回るので、歩きやすい靴や服装で訪れるのがおすすめです。

オホーツク流氷館と天都山展望
天都山(てんとざん)は、網走市の南東にある小高い丘で、市内やオホーツク海を一望できる眺望スポット。山頂付近にある「オホーツク流氷館」では、年間を通じて流氷を体感できる冷凍展示室や、流氷の仕組み・オホーツク海の生き物を学べる展示が充実しています。
真夏に訪れても本物の流氷を触れるユニークな体験は必見。併設のカフェや展望スペースからは、網走湖や能取湖(のとろこ)、雄大な大地が広がる絶景を楽しむことができます。

能取湖(のとろこ)のサンゴ草と夕日
網走市から少し西へ足を伸ばした場所にある「能取湖」は、秋になると“サンゴ草”と呼ばれる紅藻が湖畔を真紅に染めることで知られています。
9月中旬〜10月上旬頃にかけて見頃を迎え、一面が赤一色に染まる光景はインスタ映え必至。サンゴ草群落地には木道が整備されているので、散策しながら写真撮影を楽しめます。
さらに夕刻には、夕陽と赤いサンゴ草のコントラストが美しく、ロマンチックな雰囲気を演出。花の見頃時期を確認して訪れると、一生の思い出に残る絶景に出会えるでしょう。
網走市の地元グルメ・特産品とは?
網走のグルメといえば、まずは「海鮮」です。

タラバガニやズワイガニ、ホタテ、サケ、シシャモ、ホッケなど、オホーツク海の恵みが盛りだくさん。
港近くの市場や食堂では、新鮮な刺身や焼き魚、海鮮丼をリーズナブルに味わうことができます。また、秋には産卵のために遡上するサケの漁も盛んで、イクラを含む鮭料理も人気です。
さらに、近隣の女満別や美幌町などで盛んな酪農を背景に、チーズやバター、ソフトクリームといった乳製品の質も高く、スイーツ好きにはたまらない環境。
最近では、網走ビールのような地ビールや、網走名物「流氷ドラフト」といったユニークなクラフトビールが注目を浴び、青い色が特徴の“流氷ビール”を味わえるお店も増えています。歴史と自然を感じながら、“おいしい”オホーツクを満喫してみてください。
網走市の祭り・イベント情報とは?
網走市では、夏と冬を中心にさまざまなイベントが開催されます。

代表的なのが、冬季の「流氷まつり」です。
砕氷船おーろらの発着所付近を会場に、雪像や氷像、ステージイベントなどが行われ、北海道ならではの寒さを逆手に取った幻想的なお祭りが楽しめます。
また、夜にはライトアップされる雪像や花火大会もあり、厳寒の中でもホットな盛り上がりが魅力。
夏には「オホーツク網走マラソン」が開催され、世界各国のランナーが絶景のコースを駆け抜けます。
さらに秋には、能取湖のサンゴ草が見頃を迎えるタイミングに合わせて小規模なイベントやフォトコンテストなどが行われることも。
訪れる季節に合わせて最新情報をチェックし、旅のスケジュールに組み込んでみると網走の魅力をより深く感じられるでしょう。
網走市へのアクセス・交通手段とは?

公共交通機関
網走市への主要アクセス手段は「女満別空港」と「JR石北本線」です。
飛行機:東京(羽田)や札幌(丘珠)からの便が就航しており、女満別空港から網走市街地までは車やバスで約30分〜40分ほど。空港連絡バスが運行されているため、初めての方でも移動に困りません。
JR:札幌駅から特急「オホーツク」を利用し、網走駅まで5〜6時間ほどかかります(乗換やダイヤにより変動あり)。
旭川駅や北見駅で乗り継ぐパターンも選択可能。道内を鉄道で一周するプランの場合、車窓からの雄大な景色が旅情を盛り上げてくれます。
自家用車・レンタカー
道東の観光地を効率的に巡るなら、レンタカーの利用が便利です。
女満別空港や網走駅周辺には複数のレンタカー会社があり、流氷シーズンや大型連休など繁忙期は予約が埋まりやすいので事前予約がおすすめ。
夏季は爽やかな気候のなかでドライブが楽しめますが、冬季は吹雪や路面凍結などのリスクが高まるので十分な注意が必要。スタッドレスタイヤの装着やチェーンの携行、こまめな天候チェックを行い、安全運転に心がけてください。
網走市観光のモデルコース・回り方とは?
【1日コース】冬の網走・流氷堪能プラン
午前:女満別空港または網走駅到着後、まずは砕氷船「おーろら」に乗船。オホーツク海の流氷を間近に見ながら、氷を砕く迫力を体感。
昼食:港周辺の食堂や市場で、ホッケやカニ、ホタテなど旬の海鮮料理を楽しむ。
午後:博物館 網走監獄へ移動し、明治〜昭和初期の刑務所建築や受刑者の暮らしぶりを見学。広い野外博物館なので、温かい服装を忘れずに。
夕方以降:ホテルへチェックイン後、市内の居酒屋やレストランで網走ビールや海鮮メニューを堪能。寒い夜ならではの星空や、凍てつく港の夜景を散策してみるのも◎。
【2日コース】四季を楽しむ網走満喫プラン
1日目(午前):網走駅または女満別空港でレンタカーを借り、天都山にある「オホーツク流氷館」を訪問。冷凍展示室でマイナス15℃の世界を体感しながら、展望台でオホーツクの大地を一望。
1日目(午後):ランチは市内の海鮮居酒屋や道の駅で、旬の食材を楽しむ。午後は「博物館 網走監獄」へ。歴史や囚人労働の実態を学ぶうちに、開拓時代の厳しさを実感。
1日目(夜):近隣の温泉旅館やホテルに宿泊し、温かい湯でリラックス。夕食は地元の幸たっぷりのコースを選んでも良い。
2日目(午前):早起きして能取湖へ移動。秋ならサンゴ草の絶景を撮影し、春〜夏なら湖畔の花々や鳥の声に癒される。
2日目(午後):時間に余裕があれば砕氷船やクルーズ(冬以外の季節はクルーズ船も運航する場合あり)でオホーツク海を満喫。夕方までにレンタカーを返却し、空港またはJRで帰路につく。
北海道網走市観光ガイド:流氷の海と豊かな自然、歴史が織りなすオホーツクの魅力のまとめ
網走市は、オホーツク海と湖沼の豊かな自然、そして“刑務所”の歴史が織り成す独特の観光地として、道東を象徴するスポットの一つです。
冬の流氷観光砕氷船は国内でも珍しく、他では味わえない迫力と幻想的な風景が魅力。さらに博物館 網走監獄や天都山展望など、季節を問わず見どころが尽きません。
能取湖のサンゴ草や港町ならではの海鮮グルメなど、地元の自然と食文化も旅をより豊かに彩ってくれます。