
静岡県掛川市は、遠州地方に位置し、古城や茶畑の風景が広がる歴史と自然が調和した街です。日本有数のお茶の産地として知られ、全国的にも評価の高い「掛川茶」が生産されています。市のシンボル「掛川城」をはじめ、近代芸術を楽しめる「資生堂アートハウス」、雄大な景観を誇る「粟ヶ岳茶園」など観光資源も多彩です。歴史散策から自然体験、グルメまで楽しめる掛川市をご紹介します。
静岡県掛川市の観光スポットを巡る
茶草場農法の里山で、一息つく時間

掛川の風景で特に印象深いのは、山裾に広がる美しい茶畑と、その中で伝統的に行われてきた「茶草場農法(Chagusaba)」がつくる里山の風情です。茶草場農法とは、茶畑の周辺に原生草地を残し、秋にその草を刈って茶畑に敷くことで土壌を豊かにし、良質なお茶の生産と生物多様性を両立させる農法で、2013年には世界農業遺産にも認定されています。
たとえば、茶の里ヴィレッジ(Chanosato Village) では、標高532mの粟ヶ岳山麓に広がる茶畑を見渡す絶景を楽しみながら、茶草場農法の解説を聞くことができます。里山を歩き、澄んだ空気を吸い、展望テラスで香り高い深蒸し茶を自分で急須で淹れる体験は、心も体もゆったりする時間です。
また、「旅ノ舎(Tabinoya)」や「キウイフルーツカントリーJapan」では、実際に茶摘みが体験できるプランが人気です。緑深い茶畑に立ち、柔らかな新芽を摘む手の感触と香りは、都会では味わえない自然の息吹を感じさせてくれます。さらに、摘み取った茶葉をそのまま天ぷらにして味わったり、釜炒り茶づくりに挑戦したりするプランもあり、自分の手で参加することで旅に“体験の彩り”が加わります。
掛川市には、歴史ある城郭や文化施設、自然景観など見どころが豊富に揃っています。
掛川城

「掛川城」は、室町時代に築かれた城で、東海地方唯一の木造復元天守を持ちます。白壁の美しい天守は市のシンボルであり、城内では歴史展示や展望を楽しめます。
桜の季節には花見の名所としても人気です。
資生堂アートハウス

「資生堂アートハウス」は、化粧品メーカー資生堂が設立した美術館で、近現代美術やデザイン作品を中心に展示しています。建物自体が洗練されたデザインで、芸術と建築の両面を楽しめます。
芸術鑑賞と静かなひとときを過ごせるスポットです。
粟ヶ岳茶園

「粟ヶ岳茶園」は、山の斜面に広がる茶畑が壮大な景観をつくり出すスポットです。山頂からは遠州平野や駿河湾を一望でき、四季折々の茶畑の風景はまさに絶景。
掛川茶の産地ならではの観光地です。
掛川花鳥園

「掛川花鳥園」は、鳥と触れ合えるテーマパークで、フクロウやペンギン、インコなどと身近に触れ合えます。大温室には四季の花が咲き誇り、写真映えスポットとしても人気です。
家族連れやカップルにおすすめです。
静岡県掛川市で自然を楽しむ
絶景ドライブと緑の絨毯<粟ヶ岳と茶文字>

掛川市でぜひ体験してほしいのが、茶畑をめぐる絶景ドライブや散策です。茶畑が山裾に広がる「粟ヶ岳(Awagatake)」エリアに向かえば、深い緑の“茶カーペット”に包まれる風景が待っています。GIAHSにもなっているこの茶草場農法エリアは、まさに掛川のお茶文化そのもの。
頂上近くの「茶文字展望テラス」からは、茶畑の斜面に描かれた「茶」の大きな文字と一面のお茶畑、遠く駿河湾方面の景色が広がります。車道でも行けますが、山道を歩くなら自然の空気をしっかり感じつつ、茶摘みの香りが漂う小径も楽しめます。
掛川市は、茶畑や山々、川や温泉など自然に恵まれた地域です。
東山いこいの森

「東山いこいの森」は、キャンプ場や遊歩道が整備された自然公園で、森林浴やハイキングを楽しめます。小さな子ども連れでも安心して自然体験ができる施設です。
アウトドア好きに人気のスポットです。
原泉温泉

「原泉温泉」は、山あいに湧く秘湯で、赤褐色のお湯が特徴です。美肌効果があるとされ、観光客や地元の人々に親しまれています。
自然に囲まれた癒やしの温泉地です。
桜木川・大東北公園

市内を流れる「桜木川」や「大東北公園」周辺は散策やジョギングに適しており、春には桜並木が見事に咲き誇ります。地域に溶け込んだ自然を感じられるエリアです。
季節ごとに楽しめる身近な自然です。
月夜に浮かぶ灯りの中での茶摘み体験

掛川ならではのユニークな体験として、「月夜の茶摘み会」があります。掛川市五明地区の茶畑で、満月の光と竹灯籠、ランタンが柔らかい光を灯す幻想的な中での茶摘み体験です。参加者は夜の茶畑で静かな時間を過ごしながら、摘んだ生葉を後日製茶・配送してもらえるサービスもあり、思い出と味が両方手に入ります。
音楽の生演奏や呈茶サービスもあり、茶畑が舞台の非日常的なイベントとして、特別な旅の思い出になること間違いなしです。
静岡県掛川市のご当地グルメを堪能
掛川市は、お茶を使ったスイーツや遠州地域の郷土料理など、グルメも魅力的です。
掛川茶グルメ

「掛川茶」は健康効果の高い深蒸し茶で知られます。市内のカフェや和菓子店では、抹茶スイーツや掛川茶ソフトクリームなどが楽しめます。
お土産にも喜ばれる定番です。
遠州焼き

掛川市を含む遠州地方では、「遠州焼き」と呼ばれる薄焼きのお好み焼きが人気です。具材にたくあんを刻んで入れるのが特徴で、独特の食感と風味が楽しめます。
庶民的なローカルフードです。
鰻料理

掛川市は浜名湖にも近く、うなぎ料理も名物のひとつです。ふっくらとした蒲焼きやひつまぶしは、観光客に人気のご当地グルメです。
贅沢な食の楽しみを提供してくれます。
静岡県掛川市の祭り・イベント
掛川市では、歴史や自然をテーマにしたお祭りやイベントも盛んに行われています。
掛川祭り

「掛川祭り」は、毎年10月に行われる伝統行事で、豪華な山車や屋台が市街地を練り歩きます。威勢の良い掛け声と迫力ある行列は必見です。
掛川市最大の秋祭りとして知られています。
掛川桜まつり

「掛川桜まつり」は、早咲きの掛川桜が見頃を迎える3月に開催されます。ピンク色の桜並木と露店、イベントで春の訪れを感じられます。
花と人が集う春の行事です。
モデルコース:茶と里山を味わう一日旅

早朝:掛川駅に到着後、朝の澄んだ空気の中「旅ノ舎」へ向かい、世界農業遺産の茶畑で茶摘み体験。場の静けさと茶葉の香りに包まれ、1日の始まりが心地よくなる。
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午前:古民家宿「旅ノ舎」または「茶の里ヴィレッジ」に戻り、茶摘みした葉を使った天ぷらランチや手揉み体験。ゆったりと里山時間を感じる。
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昼:粟ヶ岳山麓へドライブし、山頂へもしくは展望テラスへ。絶景の中で掛川茶を楽しむ休息。茶文字や遠景の眺めで写真タイム。
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午後:月夜ではない時間帯でも「Higashiyama Ippuku」などの茶屋で軽茶を楽しんだり、茶畑散策をしたり、道の駅「Road Station Kakegawa」で地元茶葉スイーツや直売野菜を味わう。
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夕方〜夜(時期が合えば):夜の「月夜の茶摘み会」に参加して、灯かりに包まれた茶畑で茶摘みと音楽を楽しみ、旅のハイライトを飾る。
まとめ

静岡県掛川市は、掛川城や資生堂アートハウス、粟ヶ岳茶園といった観光スポットに加え、花鳥園や温泉など自然を満喫できる魅力的な街です。掛川茶を使ったスイーツや遠州焼き、うなぎ料理といったご当地グルメも豊富で、掛川祭りや桜まつりなどのイベントも盛ん。歴史と自然、食文化が融合した掛川市で、心に残る街歩きを体験してみてください。

