岩手県一関市観光ガイド:世界遺産と自然が織りなす“南岩手の玄関口”

達谷窟毘沙門堂の写真 一関市

岩手県一関市ってどんな街?

岩手県の最南端に位置する一関市(いちのせきし)は、岩手・宮城・秋田の3県境に近く、東北の要衝として発展してきたまちです。

東北新幹線の停車駅「一ノ関駅」を中心に、世界遺産の中尊寺・毛越寺を擁する平泉エリアが隣接することや、鬼の洗濯板のような渓谷美が広がる「厳美渓(げんびけい)」など、歴史・文化と自然が融合した観光資源を有しています。

また、かつての城下町や宿場町としての風情を今も残し、地域ならではの伝統芸能や祭礼、食文化が根付いているのも魅力。

郊外には、山々に囲まれた温泉地やアウトドアスポットもあり、四季折々で表情を変える自然の恵みを満喫できます。東北新幹線や高速道路など交通アクセスが良く、宮城県の仙台や岩手県の盛岡から日帰り・週末旅行で訪れる人も多いエリアです。

岩手県一関市の歴史と文化の背景とは?

一関市周辺は、古くから北上川水系の川沿いに人々が定住し、稲作を中心とした農業と交易で栄えてきました。

江戸時代には南部藩の一部を形成する地域となり、松尾芭蕉が『奥の細道』の旅で訪れた地でもあります。また、明治以降は東北本線(現・JR東北本線)の開業により物流や人の往来が急増し、一ノ関駅が交通拠点として発展。

昭和の合併や平成の大合併を経て、現在の広域な一関市が誕生しました。

中尊寺金色堂の写真

一関が注目を集める理由の一つが、同市に隣接する平泉町に位置する世界遺産「平泉の文化遺産」。

中尊寺や毛越寺、観自在王院跡などが織りなす奥州藤原氏の栄華を偲ぶ歴史的エリアが近いこともあって、同時に一関市の観光スポットや食文化を楽しむ旅行者が増加しています。

岩手県一関市の主な観光スポットは?

厳美渓の写真

厳美渓(げんびけい)

北上川の支流・磐井川(いわいがわ)が長い年月をかけて削り出した渓谷「厳美渓」は、一関市を代表する自然景勝地です。高さ数十メートルに及ぶ奇岩絶壁や浸食による滝や淵が続き、四季を通じて変化に富んだ美しい景観を見せます。

特に春の新緑や秋の紅葉シーズンは多くの観光客で賑わい、吊り橋や遊歩道が整備されているため、手軽に渓谷美を満喫可能。

名物として「郭公屋(かっこうや)」で販売される「空飛ぶ団子」が有名で、川を渡るロープを使って団子がお椀ごと届けられるユニークなサービスは、一度は体験したい人気アトラクションです。

達谷窟毘沙門堂の写真

達谷窟(たっこくのいわや)毘沙門堂

平泉エリアの一角としても知られる「達谷窟毘沙門堂(たっこくのいわやびしゃもんどう)」は、岩壁に寄り添うように建てられた珍しい木造の仏堂。

征夷大将軍・坂上田村麻呂が蝦夷征討の際に毘沙門天を祀ったのが始まりとされ、現在の本堂は江戸時代に再建されたもの。背後の岩壁には磨崖仏が掘られており、神秘的な雰囲気に包まれています。

さらに周辺には、かつての古戦場跡や奥州藤原氏との関連を物語る史跡が残り、平泉の文化遺産とも関連深いエリアとして歴史好きに人気。

拝観料を支払い、境内を散策しながら古代から中世の歴史ロマンに触れてみるのはいかがでしょうか。

湯元温泉の写真

一関温泉郷(湯元温泉・厳美温泉など)

渓谷や山あいに点在する一関温泉郷は、湯量豊富な泉質が自慢の温泉地。

湯元温泉や厳美温泉など、厳美渓エリアを中心に複数の宿泊施設や日帰り温泉があり、観光の合間に立ち寄り湯を楽しむ人が多いです。

アルカリ性単純泉や塩化物泉など、温泉地によって異なる効能があり、肌がすべすべになると評判。美しい自然に囲まれた露天風呂で、四季の彩りを眺めながらゆったりと癒しの時間を過ごせます。

みちのくあじさい園の写真

みちのくあじさい園

みちのくあじさい園は、岩手県一関市舞川に位置する日本最大級のあじさい園です。​東京ドーム約4個分の広大な杉林内に、約400種・4万株のあじさいが植栽されており、6月下旬から7月下旬にかけて見頃を迎えます。​

園内には「くれないコース」「奥姫コース」「健脚コース」の三つの散策コースがあり、多種多様なあじさいを鑑賞しながら森林浴を楽しむことができます。

岩手県一関市の地元グルメ・特産品とは?

ふすべ餅の写真

ふすべ餅 もち料理(もち文化)

一関市といえば、「もち文化」が有名で、多種多様な味付けや食べ方が根付いています。

ふすべ餅は、宮城県栗原市や岩手県一関市に伝わる郷土料理で、焼いたドジョウの粉末、ごぼう、餅、大根を主な材料としています。​

米どころである宮城県では、昔から正月、婚礼、法事、葬儀などの際に餅をつく習慣があり、ふすべ餅もその一環として作られてきました。

小腹が空いたときに気軽に食べられる「もち料理」専門店や、ユニークなトッピングを加えた創作系もちメニューを扱う店もあるので、もち好きにはたまらないスポットが散在しています。

ひっつみ汁の写真

ひっつみ汁・地元そば

岩手南部地方の郷土料理として、「ひっつみ(すいとんの一種)」も人気。小麦粉を水で練ってちぎった生地を野菜や鶏肉、キノコなどの具とともに汁物に入れて煮込む、やさしい味わいの家庭料理です。

また、市内ではそばの生産も盛んで、香り高い地元産そばを使った十割そばや二八そばを提供する店が点在。山菜やキノコがたっぷり入った温かいそばは、秋冬にぴったりなごちそうとして多くのファンを集めています。

岩手県一関市の祭り・イベント情報とは?

一関祭り

毎年9月下旬に行われる「一関祭り」は、市内各神社の神輿や山車が一堂に会する伝統行事。

太鼓や笛の囃子が響き渡るなか、きらびやかな山車が巡行する様子は迫力満点です。周辺には露店が並び、多くの観光客と地元民で盛り上がります。

雨天時でも、神輿や山車の運行が少し変更された形で続行されるなど、祭りの熱気と地域の結束力を感じられるイベント。

一関祭り
https://iwatetabi.jp/events/8105

気球の写真

一関・平泉バルーンフェスティバル

景勝地の空をカラフルな熱気球が彩る「一関・平泉バルーンフェスティバル」は、近年注目度が高まっているイベント。

春または秋頃に開催されることが多く、全国のバルーンパイロットたちが集まり、競技フライトや夜間のバルーンイリュージョンなどを披露。澄んだ空に浮かぶ熱気球をバックに写真を撮ったり、体験搭乗を楽しむなど、非日常の光景を味わえます。

一関・平泉バルーンフェスティバル
https://iwatetabi.jp/events/9031

岩手県一関市へのアクセス・交通手段とは?

JR一ノ関駅の写真

公共交通機関

新幹線:東京駅から東北新幹線で一ノ関駅まで最速約2時間15分。仙台駅からは約30分。

在来線・バス:一ノ関駅から在来線(大船渡線・東北本線)や路線バスで各エリアへ移動。厳美渓方面への路線バスが定期的に運行されている。

飛行機:仙台空港またはいわて花巻空港からレンタカーやバスなどを利用して一関へ行く場合が多い。

自家用車・レンタカー

東北自動車道「一関IC」から市街地までは約10分。平泉エリアや厳美渓方面へのドライブにも便利で、周辺観光スポットを一日で巡ることも可能。

ただし、季節によっては観光地の駐車場が混雑するため、早めの出発か、平日を狙うのがおすすめ。冬季は積雪・凍結に注意し、スタッドレスタイヤ装着と安全運転で移動してください。

岩手県一関市観光のモデルコース・回り方とは?

【1日コース】厳美渓&もち文化を楽しむプラン

  1. 午前:新幹線で一ノ関駅到着後、荷物をロッカーへ預け、厳美渓行きのバスまたはレンタカーで移動(約20分)。渓谷散策と「空飛ぶ団子」体験を楽しむ。
  2. 昼食:周辺のレストランや食事処で名物のもち膳を味わう。多彩なトッピングを少しずつ試すのが醍醐味。
  3. 午後:再び市街地へ戻り、手づくり村や市内のカフェを巡りながら、一関の文化に触れる。場合によっては平泉方面に足を伸ばして世界遺産をかじるのも◎。
  4. 夕方:一ノ関駅周辺で地元居酒屋や食堂で夕食を楽しみ、夜行バスや新幹線で帰路につくか、宿泊して翌朝早めに行動。

【2日コース】世界遺産&温泉でゆったりプラン

  1. 1日目(午前):新幹線で一ノ関駅着。ホテルに荷物を預け、バスやレンタカーで達谷窟(たっこくのいわや)へ。毘沙門堂の迫力ある岩壁建築を見学。
  2. 1日目(午後):昼食は市内でひっつみやそばなどを試し、平泉エリア(中尊寺・毛越寺など)へ移動して世界遺産巡り。夕方には一関温泉郷の宿へチェックインし、温泉でリラックス。
  3. 2日目(午前):厳美渓を訪ね、渓谷美と空飛ぶ団子を体験。昼食にはもち膳や地元グルメを堪能。
  4. 2日目(午後):市街地に戻り、手づくり村や地元カフェでお茶休憩を楽しんだ後、夕方までに新幹線で帰路へ。

岩手県一関市観光ガイド:世界遺産と自然が織りなす“南岩手の玄関口”のまとめ

岩手県一関市は、「世界遺産の玄関口」「壮麗な渓谷美」「独特のもち文化」といった多彩な観光要素を兼ね備えた南岩手の拠点都市です。

厳美渓のダイナミックな自然や達谷窟の歴史的景観、地元で愛される多彩なもち料理、足を伸ばせば平泉の世界遺産めぐりも可能と、一度の旅行で多面的な楽しみが広がります。

アクセス面では東北新幹線の停車駅があるため、首都圏や仙台方面からも気軽に訪れやすいのが利点。渓谷を巡るアクティビティや温泉リゾートの充実度も高く、カップルや家族旅行、歴史好き・自然好きなど多様な層に合わせた観光ルートが作れます。

ぜひ一度、一関市を訪れ、津軽と南部が交わる奥深い文化と自然の魅力に触れてみてください。

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